冬の花 ースイセンー【水仙花文】
雪の降る私の出身地では、水仙といえば雪解けとともに花を咲かせるのが印象的でした。水仙が花を咲かせるとやっと冬も終わりに近づいてきたと感じていました。しかし、関東に住みはじめた時に水仙が冬の花と知ってとても驚きました。花の少ない冬だからこそ水仙が甘く爽やかなとても良い香りのすることに気づき、香りが好きな花の1つになりました。
今回はそんな「水仙」についてです。
水仙について
水仙はヒガンバナ科スイセン属でイベリア半島を中心とした地中海沿岸地域原産です。品種によって開花時期が異なり11月中旬から4月に白や黄色の可憐な花を咲かせます。海外では「希望」のシンボルとして募金活動のキャンペーンなどに用いられることが多くあります。
一方で、少し怖い一面も持っています。水仙にはすべての部位に毒性があり、特に鱗茎と呼ばれる球根部分に多く含まれています。誤飲してしまった場合には嘔吐や下痢、頭痛、発汗などの症状があり、ひどい場合には死に至ることもあります。家庭菜園でニラと間違われるケースが多いようで注意が必要です。
水仙花文
水仙は「水仙花文(すいせんかもん)」と呼ばれています。「仙」の字が吉祥を意味することから新春の瑞兆花とされています。江戸時代以降に文様として使われるようになり、写実的に描かれるほか、丸文に図案化されたものがあります。友禅染や紅型染めによく見られます。 着物や帯の着用時期は冬、瑞兆の意味を持つことから特にお正月の着用に適しています。
水仙の家紋
古代に家紋として用いられた記録はなく、明治以降に家紋として用いられるようになった新紋です。水仙紋は花だけを描かれたものや茎や葉まで描かれたものがあります。抱き水仙や抱き水仙に三つ鱗、五つ水仙車などがあります。
水仙の花言葉
水仙の花言葉は「うぬぼれ」、「自己愛」、「気高さ」、「自尊心」、「報われぬ愛」などがあります。可愛らしく香りの良い花ですが、贈り物の時には注意が必要です。
おわりに
希望のシンボルや瑞兆花として使われいることは見た目のイメージ通りですが、毒性があったりうぬぼれや自己愛などの花言葉があったりと陰の面も持つお花です。しかし、何事も陰と陽両面を持つものです。着物柄としては1年の幸せを願いながらぜひ着てみたい柄ですね。