kotoきもの Diary

着物生活の記録❁

東京桜開花宣言【桜文様について】

3月14日東京でソメイヨシノ開花宣言が出ました。昨年と並んで最も早い開花宣言とのことです。近所の桜もだんだんと開花してきてそろそろゆっくりとお花見散歩をしたいです。

 

ということで、本日は「桜文様」について。

 

桜について

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桜はバラ科の落葉広葉樹で日本を代表する花の一つです。日本では沖縄で1月から開花が始まり、5月頃北海道で開花となります。品種により早咲き遅咲きの桜があり、日本全体でみると長期間楽しめます。一方、代表的なソメイヨシノでは開花から満開までは約1週間、満開から1週間程度で散ってしまうため、その儚さも桜の魅力の一つといえます。観賞されるようになったのは平安時代で、それまでの梅に加えて桜を愛でるようになり、文学や美術にも登場するようになりました。

 

桜文とは

「桜花文(おうかもん)」とも言います。さくらの「さ」は稲、「くら」は神が宿る座(神のいる場所)を意味し、五穀豊穣の象徴とされてきました。花見は元々桜の下で五穀豊穣を願って行う行事でした。

 

桜文の種類

八重桜

通常の桜は花弁が5つですがそれ以上のものは八重桜と呼びます。一重の桜が散るころから咲き始める八重桜は見た目も華やかで目立ちます。八重桜の文様は室町時代以降に使われるようになりました。

 

枝垂桜

風情のある枝垂桜文様は能装束や小袖にも見られます。写実的なものだけでなく意匠化されたものもあります。桜文様のバリエーションが増えた桃山時代に生まれた文様の一つです。 

 

小桜

小さな桜の花や花びらを一面に散らした文様です。主に江戸小紋などの小紋長襦袢、白生地の地紋、印伝などに用いられます。意匠化された総柄のため、季節を問わず使えます。 

 

桜楓(おうふう)

春の桜と秋の楓を組み合わせた文様で、季節を問いません。

 

桜川(さくらがわ)

桜が散りゆく姿を意匠化したのが桜川です。流水に桜の花びらが落ちる様子が描かれます。散った桜が水に流されていく様子を表現したものは「桜流し」ともいわれます。

 

桜山

山と桜を組み合わせて、満開の桜山の様子を表現した文様です。桜の名所である奈良県吉野山をイメージして作られたものが多くあります。

 

桜吹雪

桜が舞い散る様子を意匠化したものです。小さな花びらが主役のこの文様は染にも織にも、刺繍にも表現されます。

 

桜文様の着物の時期

春の花である桜は写実的に描かれたものは春に、それ以外は季節を問わず着用可能です。桜は日本を代表する花のため、写実的に描かれたものであっても通年着て良いという考えもあります。

 

桜の花言葉 

桜の花言葉は、 優れた美人、純潔、精神美、淡泊です。桜の美しく品のあるイメージにぴったりの花言葉です。

 

 

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バレンタインにぴったり! 愛を伝える【ミンサー織】

Happy Valentine's Day♡

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今日はバレンタインですね。普段はなかなか素直に伝えられない大切な人へ愛情や感謝を伝えられる良い機会です。私も大切な人へ日頃の感謝を込めて贈り物をしました。沖縄ではミンサーを女性から大切な男性へ贈る習慣があったそうです。私は沖縄へ訪れた時にその習慣を知りました。元々織りの模様が好きでしたが、素敵なエピソードがあることを知りミンサー織がさらに好きになりました。

 

今回はそんなバレンタインにぴったりな「ミンサー織」についてです。

 

ミンサー織とは

「綿(ミン)で織られた幅の狭い(サー)帯」という意味から「ミンサー」と呼ばれるようになったと言われています。幅10㎝程のものを基本とし、産地によって模様などが少しずつ異なります。八重山、 読谷、首里など沖縄県各地で織られてきました。

 

ミンサー織の歴史

起源ははっきりしていませんが琉球王朝時代の木綿についての栽培と中国の交易記録があることから、17ー18世紀頃にすでに「ミンサー」があったと言われています。

 

代表的なミンサー織

八重山ミンサー

1989年4月11日に国の伝統工芸品に指定されました。5つのマス目と4つマス目を織り込んだ模様が特徴です。通い婚の時代に女性から男性に贈る習慣があり、「いつ(5)の世(4)までも末永く…」という願いが込められています。縁取りの模様は「ヤシラミ」むかでの足の模様で自分の元に「足繁く通ってください」という意味があります。

 

読谷山ミンサー

読谷山ミンサーは東南アジアの紋織の影響を強く受けており南国特有の色彩感覚に満ちた柄模様が特徴です。「竹串」を使って経糸ひろいながら作る「グーシバナ」という技法で、風車や花、縞柄を組み合わせて織っていきます。一時は生産が途絶えてましたが読谷村の人々の熱い想いで1964年から復興に取り組まれ、1976年6月14日には国の伝統工芸品に指定されました。

 

ミンサー織の用途

元々「ミンサー=帯」でしたが、現在はテーブルセンターやコースター、袋物、ハンカチ、バッグなどが作られており沖縄のお土産品としても人気です。

 

おわりに

女性のピュアで一途な想いを込めた八重山ミンサーと、地域の方々の思いから技術を残し守られてきた読谷山ミンサー。一言でミンサーといっても特徴も受け継がれてきた背景も異なります。以前私が沖縄を訪れた時には八重山ミンサーしか知りませんでした。それぞれの時代背景を知り、改めてミンサーに触れたいと思いました。早く気兼ねなく沖縄に行けるようになってほしいです。

 

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冬の花 ースイセンー【水仙花文】

雪の降る私の出身地では、水仙といえば雪解けとともに花を咲かせるのが印象的でした。水仙が花を咲かせるとやっと冬も終わりに近づいてきたと感じていました。しかし、関東に住みはじめた時に水仙冬の花と知ってとても驚きました。花の少ない冬だからこそ水仙が甘く爽やかなとても良い香りのすることに気づき、香りが好きな花の1つになりました。

 

今回はそんな水仙についてです。

 

水仙について

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水仙ヒガンバナ科スイセン属でイベリア半島を中心とした地中海沿岸地域原産です。品種によって開花時期が異なり11月中旬から4月に白や黄色の可憐な花を咲かせます。海外では「希望」のシンボルとして募金活動のキャンペーンなどに用いられることが多くあります。

一方で、少し怖い一面も持っています。水仙にはすべての部位に毒性があり、特に鱗茎と呼ばれる球根部分に多く含まれています。誤飲してしまった場合には嘔吐や下痢、頭痛、発汗などの症状があり、ひどい場合には死に至ることもあります。家庭菜園でニラと間違われるケースが多いようで注意が必要です。

 

水仙花文

水仙水仙花文(すいせんかもん)」と呼ばれています。「仙」の字が吉祥を意味することから新春の瑞兆花とされています。江戸時代以降に文様として使われるようになり、写実的に描かれるほか、丸文に図案化されたものがあります。友禅染や紅型染めによく見られます。 着物や帯の着用時期は冬、瑞兆の意味を持つことから特にお正月の着用に適しています。

 

 

水仙の家紋

古代に家紋として用いられた記録はなく、明治以降に家紋として用いられるようになった新紋です。水仙紋は花だけを描かれたものや茎や葉まで描かれたものがあります。抱き水仙や抱き水仙に三つ鱗、五つ水仙車などがあります。

 

水仙花言葉

 水仙花言葉は「うぬぼれ」、「自己愛」、「気高さ」、「自尊心」、「報われぬ愛」などがあります。可愛らしく香りの良い花ですが、贈り物の時には注意が必要です。

 

おわりに 

希望のシンボルや瑞兆花として使われいることは見た目のイメージ通りですが、毒性があったりうぬぼれや自己愛などの花言葉があったりと陰の面も持つお花です。しかし、何事も陰と陽両面を持つものです。着物柄としては1年の幸せを願いながらぜひ着てみたい柄ですね。

 

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琉球王国建国記念の日

2月1日は沖縄県観光事業協同組合が制定した、琉球王国建設記念の日。

1425年2月1日に中国・明王朝尚巴志琉球国王として認定したとする書籍が残るのを、琉球王国が対外的に認定された日として記念する。

琉球王国建国記念の日とは - コトバンク

琉球王国は1425年から450年余り続き、その後沖縄になりました。今日はその琉球王国の民族衣装である「琉装」についてです。

 

琉装とは

沖縄の方言で「ウチナー(沖縄)スガイ(姿)」と呼ばれます。琉球王国時代の身分制度は王家、一般士族、庶民に大別され、その身分や階級によって色、柄模様、布地の種類が使い分けられていました。琉装体験などでよく目にする紅型の衣装は王族婦女子の礼服でした。そのためとても華やかな衣装となっています。士族婦女は絣や上布を、庶民は植物繊維の芭蕉布を着用していました。

 

琉装の特徴

亜熱帯の気候に合わせ通気性の良い構造になっています。

・袖は和服のような袋状ではなく、広袖で筒状になっている。

・袖口の裏地は見えることを前提に鮮やかな見栄えのする色が使われている。

・身幅はゆったりした縫い方で、着るとぽってりとした見た目になる。

・帯を使用せず腰ひもだけで着るウシンチースタイルが主流。

 

沖縄以外では見ることがないウチナースガイ。和装と似ているようで、暑い沖縄で快適に過ごすための様々な工夫がされています。体感温度はどのくらい違うのでしょうか。沖縄旅行の際は琉装で沖縄の歴史ある街並みを楽しんでみたいものです。

 

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襟元のおしゃれ【半襟について】

今年は初詣も行かず新年会もできず、気づけば1月最終日になりました。まだ着物に袖を通さないまま1月を終えてしまいました。

 

緊急事態宣言の延長に向け明日から本格調整が始まるとのことです。なかなか自由に出掛けられずやるせない気持ちになっていたところに、素敵な刺繍半襟が届きました!自分ではあまり買うことがないのでいただくとっても嬉しくなります。

 

そんな今日は「半襟」について。

 

半襟とは

着物の下着である長襦袢につける襟のことです。長襦袢の襟もとに汗や汚れが付かないよう長襦袢に縫い付け、汚れたら取り外して洗ったり新しい半襟を縫い付けます。

 

半襟の種類

塩瀬(しおぜ)

袷の着物の時期の代表的な襟がこの塩瀬で、6-9月を除く「10-5月」に使用します。小紋など普段着から正装まで幅広く使われます。

絽(ろ)

単から夏の時期に使用する半襟で、「6-9月」に使用します。横縞に見えるすき間があり清涼感があります。

麻絽(あさろ)

麻など夏の織の着物用の半襟で「6月下旬ー8月」に使用します。着ている人はもちろん、見た目にも清涼感があります。

楊柳(ようりゅう)(ちんき)

織り方が縦向きになった「縦しぼ」が特徴です。「5月と9月」に使用します。

縮緬(ろちりめん)

透け感のある絽に強い拠りをかけた縮緬素材でさらりとした着用感が特徴です。「6-9月」に使用できますが、特に「6月と9月」に活躍します。

縮緬(ちりめん)

細かいシボが特徴的でボリューム感があり暖かな印象です。冬向きなので「11月-2月」に使用します。

 

半襟とTPO

フォーマルの場合は、基本的には「白」の半襟を使用します。留袖や訪問着を着る際は刺繍のない白襟が最も良いとされますが、セミフォーマルでは淡い色の半襟を使用するのも良いとされています。刺繍襟は「白」「金」「銀」を使われたものを使用することが多いです。カジュアルの場合は、「白」「色物」「刺繍」など着物に合わせて自由に組み合わせられます。

 

おわり

半襟を使いこなしている人を見るととってもお洒落だなと感じます。フォーマルの場合はマナーを考える必要がありますが、カジュアルの場合は自由度が高く個性を出せる部分でもあります。顔に最も近い場所なので、第一印象にも関わる大切なアイテムです。素材や色、デザインで自分らしさを表現して楽しみたいですね。

 

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着物とSDGs

今日の富山市役所にフードロス対策の自販機設「SDGs自販機」設置のニュースが出ていました。富山市は政府から「SDGs未来都市」に選ばれており、推進に取り組んでいるそうです。

www.msn.com

 知っているような?知らないような?いまいち国民に浸透していないのではと思うSDGsについて、着物に関連して思うことを少しだけ書いてみました。

 

SDGsとは

SDGsという言葉は聞いたことがあるけれど詳しく知らないという人もいるのではないでしょうか。SDGsとは2015年の国連サミットで採択された、2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標のことです。17のゴール169のターゲットから構成されています。

SDGsとは? | JAPAN SDGs Action Platform | 外務省

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着物とSDGs

衣類であり製造・生産される着物はこのSDGsの中で12の「つくる責任つかう責任」に最も該当します。洋服は大量生産大量消費が当たり前になり、流行りのものを1年だけ着て翌年にはまた新しい服を買うということが繰り返されています。しかし、着物は洗い張りや染め替え、リメイクをしながら何代にも渡って受け継がれているものが多くあります。私も普段着る着物は、9割いただきものを使用しています。新しくて綺麗な自分サイズの着物にも憧れはもちろんありますが、祖母や母から受け継いだ思い入れのある着物を大切にしています。「もったいない」精神からかもしれません。

一方で着物も扱いやすい素材のものが安く手軽に手に入る時代にもなりました。着物を身近に感じられ着物初心者には非常にありがたく感じますよね。しかし、そういった簡単に手に入るもの、手軽に扱えるものが長く大切にされるのだろうかという点においては不安も感じます。形が変わらず大切に扱えば何世代にも渡って受け継ぐことができることが着物の良さでもあると思います。その良さを知らないままではただ消費されていってしまうのではないでしょうか。

着物の良さをもっと広め、生産されたものを大切に受け継いだり最後まで使い切る工夫をすることで、「つくる責任つかう責任」を果たすことができると考えます。生産者の方々がどんな思いで着物を作っているのか、どんな素晴らしい技術を持っているのか、私もまだまだ未熟ですが日々勉強していきたいと思います。そして少しでも着物の良さを広めていけたらいいなと思います。

 

おわりに

SDGsの目標はスケールが大きすぎて自分自身のこととして考えられないこともたくさんあります。しかし、自分にできる身近なことを少しずつみんなが取り組むことで確実によりよい世界に近づきます。自分や子供たち世代が生きやすい世の中になるように、1つでも多く何か自分のできることを見つけていきたいなと思います。

 

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冬を彩る花 椿 【椿文について】

花が少なく日照時間も短い冬は少し寂しい気持ちになります。そんな時期を彩る花の1つに椿があります。毎日の通勤路の椿の花が咲いていて、それを見るたびにホッと心が温まります。

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今日はそんな「椿」についてです。

  

椿とは

椿はツバキ科ツバキ属の常緑広葉樹です。日本原産で開花時期は12月~4月頃です。椿は1年中葉が青いことや古くから不老長寿の薬として使われていることから、縁起の良いものとされてきました。椿の花を文様化したものを「椿文」といいます。花が華やかで美しいことから、染織品や陶磁器の装飾としてよく使わています。のう能装束や辻が花文様には名品が残っています。

 

椿文に込められた意味

文様として使う場合には花の落ちる様子は気にしないようで、樹齢の長さや神木とされてきたことから「不老長寿」の意味を込めて使われることが多いようです。ただし、花の落ちる様子が首が落ちることを連想させるため武家には好まれず、家紋に使われることはあまりありませんでした。 

 

椿文の種類

・雪持ち椿:椿に雪が積もった様子を表現した模様。

・籠目椿文:籠目文を地紋に椿をあしらった模様。

・枝椿:椿の折枝文。椿は花だけでなく枝のついた状態で文様化されることが多い。

遠州椿:椿の花をデフォルメし図案化した文様。遠州流茶道の祖として知られる小堀遠州が好んだ柄ということから名づけられた。

遠州緞子(どんす):小堀遠州が所有していた名物裂。遠州七宝ともいう。

 

椿文の着物の季節

椿の開花時期を少し先取りした11月~3月頃、雪持ち椿の場合は雪が描かれているため12月~2月頃に着用するのが良いのではないでしょうか。ただし、デザイン化された椿は通年着用可能です。椿柄の浴衣も多く販売されています。

 

椿の花言葉

椿の花言葉は「控えめな優しさ」、「誇り」です。

赤色の椿:控えめな素晴らしさ、謙虚な美徳

白色の椿:完璧な美しさ、申し分ない魅力、至上の愛らしさ

ピンク色の椿:控えめな美、控えめな愛、慎み深い

美徳のシンボル的な意味を持っています。一方で西洋では「罪を犯す女」という少し怖い花言葉も持っています。

 

おわりに

椿というと冬のイメージが強いですが、早咲き遅咲きの品種があり秋から春先まで長期間楽しめる柄というのは嬉しいですね。私は八重咲の椿が特に好きで、花言葉にもあるように控えめですが素晴らしい美しさがあります。一歩引いて相手を立てたい時に椿柄の着物を着れたら、花言葉ともぴったりで素敵だと思いました。

 

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